三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷
 
症状と経過
 
 外傷後に手関節の尺側部に疼痛が続く場合は三角線維軟骨複合体損傷の可能性がある.尺骨頭
と手根骨の間に圧痛があり,最大回内あるいは最大回外時に痛みがあり,その際手関節の尺屈を
強制すると痛みが増強する.手をついて転倒したり,過度に回内されて受傷することが多い.

病態


 三角線維軟骨,手関節尺側側副靱帯および遠位橈尺靱帯などを含む手関節の尺側支持機構を総
称して三角線維軟骨複合体(triangular fibrocartilage complex,TFCC)といわれる.尺骨と手根
骨間のクッションとして働き,遠位橈尺関節の安定性を与えている.三角線維軟骨は膝半月と類
似の構造で,手関節の動きに従って関節面の適合を調節している(図9-14).X 線像で一見異常が
みられない外傷においても,この複合体が損傷されると手関節痛が残ってしまう.
橈骨遠位端骨折後の橈骨短縮や先天的に尺骨が橈骨に比べて長い場合(プラスバリアント)など
では尺骨頭が三角線維軟骨を突き上げるので,損傷を起こしやすい.「尺骨突き上げ症候群」と
いわれる.

9-14


治療


 MR 画像や関節造影あるいは関節鏡によって診断を進める.装具などの保存療法をまず行う.
症状が持続する例には,修復術,部分切除術あるいは尺骨短縮術が行われる.

 註:三角線維軟骨が石灰化を起こし,偽痛風を発症することもある.
 

   

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