手舟状骨偽関節
 
症状と経過

 手を強くついて転倒したときに手の舟状骨骨折を起こすことはまれではない.しかしこの骨折
が受傷直後に見逃されて,捻挫や打撲として処置されてしまうこともある.受傷後かなりの月日
が経ってから,手首の痛みが治らないと訴えて受診することが多い.手関節の橈側寄りに圧痛を
認める.長母指伸筋と短母指伸筋の間にあるくぼみを「解剖学的嗅ぎタバコ窩」というが,この
場所に特異的な圧痛があることを確認する.本症の存在を念頭において,改めてX 線撮影を行
い,注意深く観察すると異常像が発見される.


病態


 手の舟状骨は手掌を取り囲むように傾斜しているので,通常のX 線撮影では長軸に沿った軸
射に近くなる故に,骨折線が明確にわからないことが多い.こぶしを軽く握った状態で,手関節
を軽度背屈し,軽度回外位として背掌方向X 線撮影を行えば,舟状骨の全体像が撮影される(図
9-13).舟状骨の血流は遠位部と中央部から供給され,近位部には骨内血流によって供給されて
いるので,近位骨片の壊死を起こしやすい.

9-13


治療


・手の激しい捻挫で,受傷直後にこの骨折が確認されなかった場合,3週間のギプス固定後に改
 めてX 線撮影を行って骨折の有無を確かめる.骨折が認められた例にはギプス固定期間を延
 長するか,骨折型によっては手術の適応となる.

・偽関節となった例には手術療法が必要である.方向を偏位した骨片を整復し,特殊なねじ釘や
 プレートで固定する.壊死に陥った近位骨片に自家海綿骨を移植する方法もある.


   

トップへ移動
トップへ戻る
前のページに戻る
前のページへ戻る