橈骨遠位端骨折、コーレス骨折とその後遺症

 
症状と経過

 
高齢者が手をついて転倒して起こる骨折である.60-70歳台に多い.80歳以上の高齢者では転
倒時に手が出ないので,むしろ少ない.手関節の腫脹と疼痛を訴え,手を動かすことができない.


病態


 橈骨遠位端から1-3cm のところで骨折し,遠位骨片は背側に転位する (図9-4)。尺骨茎状突起
の骨折を伴うこともある.遠位骨片が二分して手関節面に達する場合もある.手関節を掌屈して
手背をついて転倒した場合は,遠位骨片が掌側に転位する.逆コーレス骨折あるいはスミス骨折
といわれる.橈骨下端関節面の一部が骨折し,手根骨と一緒に転位することもあり,バートン骨
折という.

9-4

治療


 浸潤麻酔または腋窩伝達麻酔,あるいは全身麻酔下で徒手整復し,手関節掌屈位で前腕以下の
ギプス固定を行う.2-3週後,手関節を中間位としてさらに2-3週間ギプス固定を続ける.ギプス固定
のまま手指の自動運動を行う.指の腫脹が高度で手指のしびれや痛みを訴える場合には,直ちに
ギプスを除去して循環障害を回復させる.


反射性交感神経性ジストロフィー(ズデック骨萎縮)
9-5

 整復・固定後に手指の腫れ,痛み,運動
制限を残すことがある.X 線像では骨端
部の骨萎縮がみられるので,ズデック骨萎
縮ともいわれる(図9-5).反射性の血管運
動神経障害によると考えられているが,激
しい痛みが続いて難渋する.これを予防す
るためには,ギプス固定の翌日から手指の
自動運動を積極的に行うことが重要である.



 

   

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