上腕骨顆上骨折
 
症状と経過
 
 5-10歳の子どもが転倒して,手を地面についたときに起こる骨折である.頻度の高い骨折で,
子どもが転倒して肘の辺りを痛がったら,この骨折を考える.腕を動かすことができず,肘の直
上部すなわち顆上部に圧痛と腫脹を認める.転位が激しい例では肘頭が突出してみえる.

病態

 上腕骨下端レベルの骨折で,骨片が回旋して内反,後上方に転位する(図8-19b).転位が明ら
かでない場合も軟部組織陰影を注意深く観察する.側面像で肘頭窩や鈎状突起窩付近の骨と軟部
組織との間に透過陰影を認めた場合は,転位のない亀裂骨折と考える.骨折線が顆上部の低位に
ある場合は遠位骨片の骨部分が小さいので,転位の程度を正しく判定できないことがある.上腕
骨小頭骨端線の傾き(バウマン角)を健側と比較する

 転位が著しい例では,近位骨片が血管・神経を巻き込むことがある(図8-19c).患児は激しい
自発痛を訴え,手の痛覚鈍麻,蒼白,橈骨動脈の拍動欠如などをきたす.緊急に対処しなけれ
ば,前腕以下の軟部組織壊死となり,重篤な拘縮(フォルクマン拘縮)を残す


8-19


治療


・全身麻酔下に徒手整復を行い,肘関節屈曲位で上腕近位から手関節までをギプス固定する.子
 どもの腕は小さく柔らかいので,ギプスが抜け落ちることもあるので,患肢を三角巾で吊り下
 げる.ギプスの中で腫脹し血管・神経が圧迫されることもあるので,整復後24時間は手指の
 血流に厳重に注意しなければならない.

・整復位が不安定な例にはキルシュナー鋼線固定を追加する.徒手整復が困難であったり,安定
 性が不良な例では牽引療法を行う.

・整復が不完全のまま骨折が癒合すれば,内反肘変形を残す.上腕に対して前腕は7-10°外反し
 ているのが正常なので,上腕・前腕がストレートな整復では内反位である.



   

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