肘部管症候群
 
症状と経過

 
腕を激しく使う仕事を続けた高年者に多い.初発症状は小指,環指と中指のしびれで,とくに
夜間に肘を屈強位で寝ているときに強くしびれる.肘の痛みも伴う.進行すれば小指,環指と中
指の伸展が不十分となり,手袋をはめるのが困難となる.母指内転筋と骨間筋の萎縮のために,
母指と示指の基部で紙を挟むことが困難となる.挟み込んだ紙を引っ張るテストを行うと,母指
のIP 関節を屈曲させて保持しようとする(フロマン徴候).骨間筋萎縮と指の伸展不全のために
鷲の手に似た格好となるので,「鷲手,鉤爪手」(clawhand)といわれる.肘の後内側に指に放散
する圧痛を認める.

病態

 机の角に肘の後内方をぶつけると指先に響く場所がある.この部位は尺骨神経の通っている溝
があり,尺骨神経溝といわれる.この溝を靱帯性組織が覆っていてトンネル状になっているので
肘部管(cubital tunnel)といい,この部位での尺骨神経の絞扼症候群を肘部管症候群という(図8-17).

 肘関節症では骨棘によって,このトンネルが狭められ,尺骨神経の圧迫症状を起こす.肘の強
い外反変形では,尺骨神経に緊張が持続的に加わって,尺骨神経麻痺を起こす.


8-17


治療

・肘関節症の人が肘に衝撃力が加わる作業を行うと,肘の腫脹を起こし肘部管底部の軟部組織も
 腫れて尺骨神経圧迫症状が増強する.安静を保てば腫れが引けて,症状も軽快する.故に衝撃
 の加わる作業を避けることが基本である.

・症状が進行して日常動作に支障がある例に対しては,尺骨神経移行術を行う.


   

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