上腕骨内側上顆炎(野球肘、ゴルフ肘)
 
症状と経過

 無理な投球動作の繰り返しによって起こることが多いので「野球肘」ともいわれるが,野球以
外のスポーツや腕を使う作業によっても起こる.初めは投球時など,特定の動作をする時のみに
肘の内側に痛みを感じる.進行すればそれ以外の動作でも痛むようになり,肘を伸ばす動作が制
限される.肘の内側にある骨の突出部を上腕骨内側上顆といい,この部位とその下方を押すと痛
む(図8-8).

病態

 投球動作の加速期には肘を外に反らせる力が加わるので,肘の内側に張っている靱帯(内側側
副靱帯)が緊張する(図8-7).上腕骨内側上顆には腕をねじる働きの前腕回内筋や,手関節や手指
を曲げる筋肉が集中して付着している.投球動作ではこれらの筋肉も同時に強く働くので上腕骨
内側上顆と内側側副靱帯には牽引力が集中する(図8-8).その結果,内側側副靱帯の微小断裂を
起こしたり,骨端線が完全に閉鎖していない18歳未満では骨端線の不全断裂を起こす.
さらに肘の外側に圧迫力が加わると「離断性骨軟骨炎」を起こす.また投球時には肘が過剰に
伸びた状態になるので,肘頭が肘頭窩に衝突を繰り返すために起こる伸展型障害もある.


8-7 8-8
8-9

 
治療

・まず投球動作や腕を使う作業を中止する.少
 年野球ではエース格のピッチャーであること
 が多く,チームへの責任上なかなか投球を中
 止できないために増悪した例もある.内側上
 顆骨端線は14-18歳まで閉鎖しないので,こ
 の時期はより障害を受けやすい(図8-9).監
 督やコーチにはこの病態を理解して正しい対
 処が求められる.足腰の訓練によって,より
 よい投球フォームの構築につとめる.

・激しい症状が続く場合には靱帯を縫合や補強
 する手術を行う.

   

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