肩腱板損傷
 
 7-9
 7-10

症状と経過

 上腕骨の頭を取り囲んでいる比較的硬いすじがあり,
これを肩腱板という.肩を打ったり,年をとって肩腱板
が劣化すると,これが切れることがある.五十肩と紛ら
わしいが,腱板損傷は痛みが強く,夜寝ているときにも
痛い.
自力では肩が上がらず(図7-9),肩甲骨だけが上がっ
てしまう.他の人が持ち上げると上がる.持ち上げて
やった手を離すと,肩が落ちてしまう(drop arm sign).

病態

 肩の表面は三角筋という大きな筋肉で覆われている.
その下に棘上筋という筋肉があり大結節に付着してい
る.三角筋は腕を真上に引き上げるが,同時に棘上筋が
肩を内側に引き寄せる.これらの合力によって,肩関節
は回転挙上される(図7-10).

 棘上筋は肩腱板の一部である.これが損傷されると,
内側に引き寄せる力が働かないので,肩の挙上がまった
くできなくなる.肩関節腔と交通しているので,痛みが
激しい(図7-11).

 上腕二頭筋長頭腱炎を合併し,肩の前方に特に激しい
痛みを訴えることがある.


7-11




 









治療


・五十肩と紛らわしいので,当初は五十肩に準ずる保存療法が行われるが.改善しないことが多
 い.激しい夜間痛を訴える場合は副腎皮質ステロイド薬の関節内注射が有効なこともある.

・MR 画像や関節造影で損傷範囲を確認する.ある程度以上の損傷では手術が必要になる.断裂
 部を切除し健常部を引き寄せて縫合するか,腱板断端を引き出して上腕骨骨頭外部に埋め込
 む.広範完全断裂では筋前進術や移行術など,大がかりな手術も必要になる.大がかりな手術
 に耐えられない高齢者には,関節鏡視下にデブリドマン(創面清掃)だけを行う.これは除痛が
 目的であって,肩の動きの回復は望めない.

   

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