| いわゆる野球肩(投球肩障害) | |
| 【症状と経過】 投球や水泳など肩の挙上動作を力強く繰り返すことによって起こる肩障害の総称である.投球 動作時に痛みがあって投げることができないというのが共通の症状であるが,痛みのほかに,肩 のひっかかり感,こわばり,筋力低下などを訴える. 【病態】 オーバースローではワインドアップからフォロースルーまでの投球動作の各相(図7-24)ごと に,発生しやすい障害の種類がほぼ決まっている.コッキングの最終期では肩関節は90°以上の 外転挙上と160°近くの外旋位となる.この位置から急激に内転・内旋力が加わって加速される. このときに上腕骨の大結節が肩峰に突き当たり,この両者間に肩腱板や肩峰下滑液包が挟み込ま れる状態になる.投球動作の繰り返しによって肩峰下滑液包の炎症を起こしたり,肩腱板の損傷 を起こしたりする.また前方関節包の過伸展や腱板粗部の緩みなどによって肩関節前方不安定症 となる.減速期では上方関節唇損傷を起こしやすいとされている. 少年野球で変化球を含めた無理な練習を繰り返すと,上腕骨近位の成長軟骨板の疲労破損のた めに骨端線の離開を起こすこともある.リトルリーガーズショルダー(Little Leager’s shoulder) ともいわれ,少年野球指導者が注意すべき事項として指摘されている. 【治療】 ・肩関節は可動域を大きくするために,受け皿である肩甲骨関節窩が小さくなっており,そのた めに起こる不安定性に対して複雑な軟部組織で補強されている.この構造を理解して無理な練 習を続けないように予防することが重要である. ・治療の基本は痛みを感じる投球動作を行わないことである.しかし本人の希望やチームの都合 などで投球をなかなか中止できない事情のことも多い.上腕骨内旋位ではインピンジメントが 浅い角度で起こり,外旋位ではより挙上できることを説明し,投球フォームの改善を図る. ・温熱療法や副腎皮質ステロイド薬の局所注射が行われる.長い将来を見通して指導すること, 投球は休んでも下半身を鍛えることが投球力を増進させることを納得させる必要がある.保存 療法で解決しない場合は,病態に応じて各種の手術が行われる. |
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