橈骨神経麻痺
 
症状と経過

 手関節と指の背屈ができなくなる.手掌を地面の方向に向けると,手首がだらんと下垂した状
態になるので,この状態を「下垂手」(drop hand)(図6-7)という.指の指節間関節伸展はでき
るが,中手指節関節の伸展ができない.手背橈側と母指背側の感覚障害を起こすが,あまり苦痛
にはならない(図6-8).

 6-7  6-8
 6-9


病態

 橈骨神経は上腕骨の後方から側方をまわって
下降するが,骨に密着している部分があるの
で,損傷を受けやすい(図6-9).上腕骨骨幹部
骨折,上腕部への注射,睡眠中の圧迫などが原
因となる.このレベルにおける麻痺を高位麻痺
という.

 橈骨神経の本幹は肘の前面で感覚枝である浅
枝と後骨間神経といわれる深枝に分かれる.後
骨間神経は回外筋の線維性アーチを通るが,こ
の部位でも損傷され,低位麻痺を起こす.低位
麻痺では手関節の背屈はできるが,指の伸展が
できなくなる.

治療

 手関節背屈位での装具で固定して様子をみ
る.橈骨神経損傷は一過性伝導障害(neurapraxia)
か軸索断裂(axonotomesis)であることが多いので,
保存的に回復が期待できる.自然回復が遅く,
神経断裂(neurotomesis)が疑われる場合は
筋電図検査などを追加して,神経縫合術を行う.






   

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