肘部管症候群、尺骨神経麻痺
 
症状と経過

 腕を激しく使う仕事を続けた高年者に多い.初発症状は小指と環指のしびれで,特に夜間に肘
を屈曲位で寝ているときに強くしびれる(図6-2).肘の痛みも伴う.進行すれば小指,環指と中
指の伸展が不十分となり,手袋をはめるのが困難となる.母指内転筋と骨間筋の萎縮のために,
母指と示指の基部で紙を挟むことが困難となる.挟み込んだ紙を引っ張るテストを行うと,母指
のIP 関節を屈曲させて保持しようとする(フロマン徴候).骨間筋萎縮と指の伸展不全のために
「鷲の手」に似た格好となるので,鉤爪指(clawfinger)といわれる(図6-1).肘の後内側に指に放
散する圧痛を認める.

 6-1  6-2
 6-3

病態


 机の角に肘の後内方をぶつけると指先に響く
場所がある.この部位は尺骨神経の通っている
溝があり,尺骨神経溝といわれる.この溝を靱
帯性組織が覆っていてトンネル状になっている
ので肘部管(cubital tunnel)といい,この部位
での尺骨神経の絞扼症候群を肘部管症候群とい
う.肘関節症では骨棘によって,このトンネル
が狭められ,尺骨神経の圧迫症状を起こす.手
首の尺側の尺骨神経管(ギヨン管)で圧迫される
こともある(図6-3).


治療

 肘を使う仕事や運動を避ける.肘関節内部の
炎症によって起こる腫れや水腫によって,肘部
管の底が持ち上がることが症状発現の一要因に
なっている.安静により腫れが引けば,症状が
軽快する.症状が持続し,日常動作に困難を訴
える場合は手術する.尺骨神経を肘部管から遊
離して,前方に移行する.

   

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