| 筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症 | |||
【筋萎縮性側索硬化症】 運動神経だけが次第に破壊され,数カ月から 数年の間に次第に麻痺が全身に及ぶ神経難病で ある(図5-21).脊髄の前角細胞,側索を通る錐 体路の変性をきたし,麻痺筋が萎縮する.40- 60歳で発症し,上肢とくに手の筋肉の麻痺で 初発することが多い.延髄の運動神経核の変性 により,顔面・咽喉頭・舌の筋萎縮・筋力低下 をきたすもので,呼吸や嚥下が困難となる.意 識は正常なので長期間の介護体制が重要とな る.原因は不明である.初期例の症状は頻度の 高い頚椎症性脊髄症と紛らわしいこともある. 眼球運動障害,感覚障害,膀胱直腸障害および 褥瘡を認めないことが,陰性4徴候として鑑別 診断の要点となっている. 【多発性硬化症】 脳,脊髄,視神経のあちこちに多巣性の脱髄 が起こり,麻痺症状の増悪と寛解を繰り返す難 病である(図5-22,23).30-50歳の女性に多い. 特異的な初発症状はないが,視力障害が比較的に多い. 四肢の運動麻痺,感覚障害や膀胱直腸障害などを訴える ので,脊髄腫瘍や脊髄症との鑑別が問題となる.中枢神 経内の2カ所以上の病巣に由来する症状があること(空 間的多発性),および症状の寛解と増悪を繰り返す(時間 的多発性)が臨床診断の基準とされている.胸部帯状痛, 三叉神経痛,痛みを伴うけいれん,疲れやすさなどを訴 えることも多い.頚椎を前屈したときに背部に電撃痛が 走る症状(レルミット徴候)を確認できることもあるが, 特異的ではない.原因は不明であるが,あるウイルスが 関与していることに注目されている. 》治療 急性期には副腎皮質ステロイド薬の大量療法が適応と され,再発防止の目的でインターフェロン注射が行われ る.しかし病状進行を阻止できる治療はなく,リハビリ テーション,介護計画の確立が望まれている.
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