頚椎症性脊髄症

症状と経過

 中年以降に好発する.頚痛,肩こり,腕や手のしびれで始まり,頚を強く背屈するとこれらの
症状が増強し,腕や手指に放散する痛みを感じる.上・下肢の麻痺症状が徐々に進行する.箸が
使いにくい,細かい字が書きにくい,足がよく上がらない,歩行や階段昇降に不安定な感じがする.
当初は本人だけが感じる不安定感であるが,誰が見ても不安定な歩行であることがわかるよ
うになる.指の感覚が鈍くなり,箸が使えず,スプーンなどを使うようになる.足や足趾の感覚
も鈍くなる.両手・両足が麻痺するので四肢麻痺といわれる.さらに進行すれば排尿障害が現れ
る.排尿開始遅延,尿線の勢い低下,残尿感などの症状であるが,本人が気が付いていない場合
もあるので,問診で確かめる.

 転倒や追突事故などの外傷を契機として,潜行していた脊髄症が急激に増悪することがある.
5-1

病態

 加齢変化としての頚椎の椎間板変性が基礎病
変である.椎間板が狭小化し,骨棘が形成され
るが,当初は無症状のことが多い.骨棘が大き
くなって腕にいく神経の出口が狭められると,
腕痛や手指のしびれが起き,これを神経根症状
という.骨棘が後方に大きく突出すれば下肢の
症状が現れるが,これを脊髄症状という.通常
は両症状が合併している.第5/6頚椎間がもっ
とも多く,次いで第6/7,第4/5頚椎間に多い.

 X 線像上の変化と症状は必ずしも並行しない。
X 線像で大きな骨棘がみられても無症状な例が
多数あるので,神経症状とX 線所見との一致
性を確かめなければならない.脊髄は背骨の
後方部分を形成する骨の管に収まっているが,
この管を脊柱管という.脊柱管の太さには
個人差があり,脊柱管がもともと狭い人には脊
髄症が発症しやすい(図5-1).








治療

@まず保存的治療を試みる.頚椎に負担がかからないように,こまめに休む.頚椎カラーを使用
 する.安静の目的で頚椎の持続牽引が有効な例も多い.

A進行例には脊髄を除圧する手術が行われる.手術は前方あるいは後方から神経の圧迫を除去し
 て,脊椎を固定する.前方除圧・固定術は頚の前方を切開して,1-2椎間の椎体前方を亜全摘
 して圧迫を除去し,骨移植して脊椎を固定する.後方除圧・固定術は頚の後方を切開し,椎弓
 を切除ないし拡大して,固定する.
 

  

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