転移性脊椎腫瘍、原因不明の背痛、帯状疱疹
 
転移性脊椎腫瘍
4-3

 高齢者が背部痛を訴えた場合にはがんの脊椎転移の
可能性を念頭におく必要がある.原発巣がわかってい
ないがんが転移巣で初めてみつかることもある.食欲
が衰え,体重が減少し,元気がないなどの全身所見に
注意する.背部痛は常に増強し,軽快の傾向がない.
痛みだけでなく,脊柱全体の動きが制限されている.
歩行や階段昇降が不安定となったり,足がしびれたり
といった脊髄不全麻痺症状も現れる.
 X 線像ではごく軽微な破壊像を見逃さないように
留意する.前後像における椎弓根像の輪郭不整所見は
がん転移に特徴的である.椎体の破壊像や圧潰像が現
れれば診断は容易であるが(図4-3),その前に疑わし
い症例にはMR 画像検査を行うべきである.原発巣
は肺がん,乳がん,前立腺がん,甲状腺がん,肝が
ん,腎がん,直腸がん,子宮がんなどである.前立腺
がんや乳がんの一部の骨転移巣では骨硬化像を示す.
罹患椎上下の椎間板狭小化がみられないことが,化膿
性脊椎炎や結核性脊椎炎との鑑別点である.

》治療

原発巣の担当医と協力して治療計画を立てる.痛みや脊髄麻痺などによる苦痛を緩和する目的
で,脊椎の手術も行われる.

原因不明の背痛

 臨床所見やX 線所見で異常がみられないが,背部痛を訴え続ける患者さんがいるのは事実で
ある.かつては「脊椎過敏症」ともいわれたが,妙齢の女性に多く,棘突起の圧痛に比べて叩打
痛を強く訴える傾向がある.
 この病態の原因は不明なので,本書では「原因不明の背痛」とした.このような患者さんをど
う取り扱うかが問題である.X 線検査や,場合によってはMR 画像検査で異常がないことを確
認した上で,よく説明してまず経過をみる.納得して痛みが軽快する例もあるが,頑固に痛みを
訴える例もある.家庭や職場の環境や対人関係が関与している場合もある.心因反応による痛みが
強く疑われる場合は,精神科の受診を勧める.
 4-4

帯状疱疹

 帯状疱疹の初発症状として,胸壁や腹壁に激しい痛
みを訴えることがある.肋間神経の走行に沿って走る
片側性の痛みである.痛みに引き続いて,浮腫性紅斑
と水疱が出現する(図4-4).高齢者や免疫機能低下者
に多い.


》治療

 初期に抗ウイルス薬を内服あるいは点滴静注する.頑固な神経痛を予防するために,副腎皮質
ステロイド薬混入の神経ブロックが有効である.



  

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