自然に発生する胸椎圧迫骨折、肋骨骨折
 
4-1

 
自然に発生する胸椎圧迫骨折

 高齢者が背部痛を訴えた場合にはまず脊椎圧
迫骨折を考える.骨粗鬆症が進行した高齢者で
は明らかな外傷なしに,例えば強い咳をしたく
らいで,脊椎の圧迫骨折が起こる.骨折発症の
初期には非常に痛くて,寝返りが困難となる.
棘突起の叩打痛を認める.自分の腕に力を入れ
て起き上がれるように,ベッドに枠などを取り
付けるとよい.介助者がぐいっと起こすと,も
のすごく痛いものである.初期の痛みはほぼ2
カ月で軽快して,円背を呈する.

 X 線像で多発性の圧迫骨折像を認めること
が多いが,本人が自覚していない程度の明らか
な外傷なしに発生した骨折の跡である(図4-1).
痛みが軽快せずに継続する場合には,骨軟化
症,骨髄腫,転移性腫瘍などによる病的骨折を
考えて,精査する.副腎皮質ステロイド薬内服
の有無も確かめる.




自然に発生する肋骨骨折

 4-2

 高齢者が胸壁痛を訴える場合はまず肋骨骨折
を考える.机の角に胸を打ったなどの明らかな
外傷を伴うことが多いが,外傷が不明のことも
ある.痛みが強い部位を患者さんに教えてもら
い,検者の指先で圧痛を調べる.患者さんが
“痛い,そこそこ!”という場合は,X 線像で
はっきりしなくても,肋骨骨折と診断する.

 バストバンドで固定するが,あまりきつく締
め付けると苦しい.2週間くらいで激しい痛み
は軽くなり,4週間くらいで治癒する.

 全身の骨萎縮を呈する患者さんの中には骨軟
化症が潜在していることがある.抗てんかん薬
の長期使用,胃切除,肝臓・腎臓疾患などの既
往をチェックする.血液検査を行い,血清カル
シウムの低値,アルカリホスファターゼの上昇
を調べる.

 X 線像で改構層(Looser zone)といわれる骨
透明帯がみられることがある(図4-2).脆弱化
した骨が力学的ストレスによって徐々に骨折を
繰り返した痕跡である.肋骨以外に骨盤,大腿
骨頚部,肩甲骨,中足骨などにも左右対称的に
発生する.

 

  

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