化膿性脊椎炎、結核性脊椎炎、腸腰筋膿腫
 
  

化膿性脊椎炎
2-30

 泌尿器系,婦人科系の感染巣から血行性に感染する場合
と,椎間板造影,硬膜外ブロック・神経根ブロックなどに よって
直接的に感染する場合がある.
急に発熱と激しい腰痛が起こる急性型,慢性腰痛のみが続
く慢性型,その中間の亜急性型がある.慢性型や亜急性型で
も全身のだるさや微熱を伴うことが多い.腰椎全体の屈伸が
困難となる.
 X 線像では椎間板を挟んで 2つの椎体にまたがる骨破壊が
起こり,椎間板が狭くなる(図 2-30).個々の椎体内に限局す
る傾向のある脊椎がん転移との鑑別診断上重要である.疑わ
しい場合には MR 画像検査を行う.遷延する腰痛患者には
ルーチンとして赤沈や CRP の血液検査を行う必要がある.
 起炎菌は黄色ブドウ球菌が多かったが,最近では嫌気性菌
や弱毒菌,メチシリン耐性菌による感染例もみられる.高年齢,
糖尿病や肝硬変などによって感 染に対する抵抗が弱っている人が
増加しているので,非定型的な経過をとる例も増えつつある.

》治 療

病巣穿刺や試験切除によって起炎菌を確定して,有効な薬剤を投与するのが常道ではあるが,
起炎菌の検出率は低い.血液検査と画像診断で本症が推定されたら直ちに広域スペクトルの化学
療法を開始する.まず安静臥床が重要で,コルセットやギプスは病勢がある程度安定してから使
用すべきである.保存療法が効かない例には病巣直達手術が適応となる.

結核性脊椎炎
 
 別名脊椎カリエスは,腰痛を訴える患者には本症を疑うべしとされた.現在でもまれではな く,
忘れた頃にやってくる疾患である.とくに
2-31
感染に対する抵抗性が弱っている高年者や糖尿病
患者では本症の存在を念 頭におく必要が高い.
胸椎と腰椎に発症する.肺結核や胸膜炎の既往を確かめる.

 腰や背中が重く,疲れやすいなどと訴え,寝汗や微熱を伴
う.安静時には疼痛を自覚することが少なく,主に運動時痛
を訴える.脊柱の屈伸が制限されて 1本の棒のようになる
が,脊柱不撓性といわれる重要な症状である.着衣を脱いだ
状態で腰部を診察すると,脊柱の両側の筋群が強く緊張して
おり,屈曲させても棘突起間に動きがないことが明瞭に判断
できる.赤沈,CRP およびツベルクリン反応を調べる.

 椎間板の狭小化と骨萎縮が X 線像での初期変化である.
椎間板近傍の椎体から骨破壊が始まり,近接する 2椎体に拡
がる.脊柱の周囲に膿瘍が形成される(図 2-31).

》治 療

安静と抗結核薬による保存療法を行う.保存療法が無効な例には病巣直達手術を行う.

腸腰筋膿腫

腰椎の炎症疾患では腸腰筋部に膿瘍が貯留し,これが刺激となって股関節の屈曲拘縮を起こす
ことがある.

 

  

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