脊椎分離症、分離性脊椎すべり症、変性脊椎すべり症
 
 
 2-20a
 2-20b


 2-21

脊椎分離症

 激しいスポーツを行う少年・少女が腰痛を訴
えるときは脊椎分離症を想定する.腰椎 X 線
斜位像では上関節突起,下関節突起および椎弓
根の陰影がスコッチ犬を思わせるが,上下の関
節突起間に亀裂が起これば,「スコッチ犬の首
輪」といわれる像を呈する.上下の関節突起間
はもともと細い部分であるが,スポーツなどに
よる応力が加わってストレス骨折を起こした状
態が脊椎分離症である.第 4,5腰椎に多い(図
2-20a,b).

》治療 

 発症後早期であれば,安静によってこの骨折
部の癒合は期待できる.しかし活発な少年期に
6カ月間もスポーツを禁じると,仲間から取り
残されることによる心理的ストレスを与えるの
で,柔軟な対応が必要である.腰を激しく屈伸
したり,捻転する動作を禁じ,足首,膝,上肢
の訓練に集中させる.約 1カ月間の経過をみ
て,腰痛を感じない程度にスポーツ活動に復帰
させているのが現状である.

分離性脊椎すべり症


 2つの脊椎は椎間板と両側の椎間関節で結合
され,椎体前面・後面ともそろっているのが正
常である.ところが上の椎体が下の椎体の前方
にすべり出すことがあり,これを脊椎すべり症
という.脊椎分離症に加えて椎間板での安定性
の低下によって発症するのが分離性脊椎すべり
症で,第 5腰椎に多い(図 2-21).
腰痛,腰の不安定感を訴え,すべりが高度に
なれば下肢痛の原因となる.腰を背側からみる
と,腰椎下部が凹んでみえる.棘突起間の段差
のために起こる所見で,階段状変形といわれる.

》治 療

コルセットや消炎鎮痛薬などの保存的治療に
よって臨床症状が改善することが多い.高度の
すべりがあって症状が継続する例には脊椎固定
術が行われる.

 
変性脊椎すべり症

 脊椎分離症がないのに椎体が前方にすべり出
した状態を変性脊椎すべり症という.中年以後
の女性に多く,第 4腰椎が第 5腰椎の前方にす
 2-22

べることが圧倒的に多い(図 2-22).もともと椎
間関節の方向が水平化しているという解剖学的
危険因子が内在し,椎間板変性が進んですべり
が起こると考えられている.しかしなぜ女性に
多発し,なぜ第 4腰椎に好発するかはわかって
いない.
無症状で経過する例,腰痛のみを訴える例も
あるが,すべり部では脊柱管が狭くなるので,
腰部脊柱管狭窄症の症状を呈する例が多い.

》治療

@痛みやしびれを感じたら,すぐ腰掛けて休
む.いつも歩く範囲に腰掛けられる箱などを
置いておく.シルバーカーを使う.
A高年者は“今日中にここまで”という仕事の
切れ目を決める傾向があるが,自分の体調に
合わせて仕事を決める.
B無理に腰を伸ばすと神経の出口が狭くなっ
て,痛みが強くなる.腰は曲がっていても痛
くないほうがよい.
C腰痛緩和体操を行う.
D消炎鎮痛薬を用いる.
E激しい症状が続く場合には手術を行う.
 

  

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