変形性膝関節症

 
症状と経過

  中高年の膝関節痛の原因としてもっとも頻度が高く,とくに女性に多い.初発症状として,膝の裏すじ
 が張った感じ,座位からの立ち上がりが痛い,階段の昇降がつらいなどが多い.立ち上がりの第一歩
 がとくに痛く,歩き出してしまえば,いったん痛みが軽くなるが,歩き続けるといよいよ痛くなる.進行す
 れば正座やしゃがみ込みが困難あるいは不能となる.膝を完全に伸ばすことができなくなる.階段
 昇降時に一段ごとに両足を揃えるようになる.上りには痛みの軽い側を上段に上げ,下りは痛い側を
 下段に下ろすのが普通である.関節が腫れ,水が貯まる(図12-2).

 O脚変形が明瞭となっていく(図12-1).変形性という名前が付けられているが,単に膝関節症でよい.

 12-1  12-2

病態

  膝関節の関節軟骨がすり減る加齢変化である.軟骨がすり減ると,立位荷重時のX 線像では,
 関節の隙間(関節裂隙)が狭くなる(図12-3).昭和30年代に一般住民のX 線調査を行ったが,
 40歳以上では約30%に関節裂隙の狭小化を認めた.膝関節に加わった機械的ストレスが関与して
 いることは間違いない.しかし女性に多いことから体質,肥満,ホルモンなどの因子が関係している
 こともうかがえる.膝の内側に主病変のある内側型が圧倒的に多い.破壊された軟骨や骨の細片が
 刺激となって滑膜炎症が起き,水が貯まる.

12-3


X線分類


 Kellgrenは grade0〜4 に分類した(図12-4).

 12-4
 
12-5 12-6 


治療

 @正座や深くしゃがみ込むなどの,痛みを感じる動作を避ける.段差の解消など,生活環境を改善する.
  図12-6の悪循環を断ち切るために,膝を伸ばす筋力の増強訓練がもっとも重要である.

  水腫が著明なときは膝関節穿刺,副腎皮質ステロイド薬やヒアルロン酸製剤の注入を行うが,漫然と
  繰り返してはならない.くさび型足底挿板は実際的に付けてみると歩きにくいものである.固いヒンジ
  付き装具も家庭内の日常動作では必要性が低く,軟らかいサポーター程度でよい.

 A高位ケイ骨骨切り術:ケイ骨の上端でくさび型に骨を切除して下肢のアライメントを修正する手術で
  あるが,進行例には適応されない.

 B人工膝関節:末期例に適応される.

   

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