単純性股関節炎、急性化膿性股関節炎
 
単純性股関節炎
11-17


  子どもが股関節や大腿部から膝にかけての痛
 みを訴え,跛行する一過性の病気である.ペル
 テス病の初期と紛らわしいので,確定診断保留
 のまま一定期間の観察が必要とされる.

  患肢は外転・外旋位をとり,見かけ上患肢が長
 くみえる.屈曲位での内旋がとくに制限される.
 X 線像で骨の異常はない.

  注意して観察すると,腫れている軟部組織の陰
 影がわかる.大腿骨頭が側方に移動し,内側関
 節裂隙が広くなる(図11-17).

  
MR 画像によって軟部組織の腫れや関節液の貯
 留を確認できる.
 しかしペルテス病の初期にも同様の所見があるので,
 一度の診察で鑑別できない.ペルテス病では症状
 が進行するが,本症では2-4週間で症状が消失する.

  痛みがある期間は安静を保てるが,痛みが軽快
 すれば,子どもは元気に歩き出す.原因は不明である.

急性化膿性股関節炎

  乳児が不機嫌で元気がなく,活発に動かしていたあし(脚)を動かさなくなったら本症を考え
 る.おむつ交換のときに号泣する.外見上の腫れは目立たないが,関節内および周辺には腫れが
 進んでいる(図11-18a).原因は肺炎などほかの感染巣からの血行性感染,および新生児に対す
 る大腿静脈穿刺による直接感染である.

  単純X 線像では,大腿骨頭の軽度側方移動がみられることもある(図11-18b).骨頭核出現以
 前すなわち3カ月未満,とくに新生児では,画像診断が困難で,手遅れになる危険がある.上記
 の臨床症状で本症の疑いがあれば,積極的に股関節の関節穿刺を行い,膿を証明して診断を確定
 する.

《治療》

  診断確定後は速やかに関節切開を行って,排膿する.治療が遅れると,乳児の骨や軟骨は急速
 に破壊・吸収される.大腿骨頭,骨幹端部および寛骨臼が破壊され,股関節は脱臼してしまう.
 骨端線が損傷されるので,患肢の成長が阻害され,非常に短い脚になってしまう.

 11-18


   

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