母指手根中手関節症
 
症状と経過

 手根骨と中手骨の間の関節を手根中手関節という.つまみ動作で母指の付け根の関節に痛みを
感じ,腫脹,肥大,亜脱臼を起こす病気である。 母指の長軸方向に圧迫を加えながら分回し運動
を加える(grind test)と強い痛みを訴える。 進行すれば母指の内転拘縮が起こり,母指を開けなくなる.
高年の女性に多発し,両側性のことが多い.しかし母指の使いすぎによっても発症する.

病態

 母指はつまむ,開く,挟むなど多彩な運動ができる構造になっている(図10-10).手根中手関
節は大菱形骨と中手骨との間の関節である.大菱形骨は3次元の鞍状を呈し,これを中心として
母指をぐるりと回転できる(図10-11).

 本態は手根中手関節の変形性関節症である.ヘバーデン結節を合併する傾向があり,家系内発
生がかなりあることから,遺伝的体質が関与していると考えられている.

 X 線像では関節裂隙が狭くなり,骨棘が形成され,中手骨の橈側亜脱臼がみられる(図10-12).

10-10
10-11 10-12 


治療


・まず母指を使う作業を制限する.テーピングテープや装具による固定を行う.一時的に強い痛
 みがあっても,安静によって痛みは軽快することが多い.

・激しい痛みが続き,仕事や日常動作に障害がある場合は手術療法の対象になる.靱帯再建術,
 関節固定術,大菱形骨切除術,腱球移植術などさまざまな手術が行われている.



   

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