| 成人のばね指 | ||
| 【症状と経過】 どの年齢にも発症するが,とくに中年女性に多い.母指,中指,環指に多く,ときには小指, 示指にも起こる.指を曲げようとしたときに,何か引っかかる感じや軽い痛みを感じるのが初期 の症状である.引っかかり感が強くなると,ばね現象が起こる.指を伸ばそうとすると,あると ころでいったん動かなくなり,そこを越えるとコクンとばねのように指が伸びる.屈曲の時にも 軽いばね現象が起こる.ばね現象が起こる瞬間に痛みを感じるが,その部位を明確に表現できな い患者さんが多い.指の付け根の手掌部に,かなり硬い米粒大から小豆大のしこりを触れ,圧痛 がある.進行すれば,指を伸ばすことができなくなる.朝方に指のこわばりが強く,指を伸ばす ことが困難なことが多い.特に誘因のないことが多いが,指を使う仕事の集中が誘因となること もある. 【病態】 指を屈曲する腱は腱鞘という「さや」の中で滑走している.腱鞘には2種類ある(図10-1). 腱に直接に接しているのは滑膜性腱鞘で,内外2層が袋状になり,この中にある滑液によって腱の 滑りをスムースにしている.滑膜性腱鞘の外側に靱帯性腱鞘があり,腱が指の骨から離れないよ うに支持している.何らかの原因で滑膜性腱鞘の炎症や浮腫が起これば,靱帯性腱鞘内の滑走が 障害される.その結果,靱帯性腱鞘が肥厚して,さらに滑走が障害される(図10-2).
【治療】 ・自然に治癒するが,手指を使う仕事をできるだけ避けるようにする.腱鞘内の滑走には潤滑液 が働いているが,その働きをよくするにはアイドリングが必要である.朝方にこわばっている 手を温浴に入れて,無理な力を加えずにゆっくり屈伸する.副腎皮質ステロイド薬入り局所麻 酔薬を局所に注射することもあるが,注射そのものが痛い. ・非常に難治な例には腱鞘切開術が行われる. |
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