先天性筋性斜頚,炎症性斜頚,痙性斜頚
 
先天性筋性斜頚

 かつては多数の乳児にみられた疾患であったが,母親の体格増大や少子化と周産期医療の進歩
などにより,最近は著しく減少した.頭部が患側へ側屈し,顔面が反対側に回旋している.患側
の胸鎖乳突筋が索状に緊張し,鎖骨停止部近くに腫瘤を触れる.患児は元気で痛みを訴えること
はない(図 1-26).自然経過で改善されることが多い.


病態炎症性斜頚,環軸椎回旋固定

 幼稚園児から小学校低学年児に多い.頭部が患側へ側屈し,顔面が反対側に回旋していること
は筋性斜頚と同じであるが,患児が悩ましい表情をしているのが特徴である(図 1-27).発症前に
風邪を引いたとか,のどを腫らしたなどの炎症の前駆症状があることが多い.これらの炎症に
よって側頚部の筋緊張が高まる結果,斜頚位を呈すると考えられている.
幼時期の斜頚の中に環椎と軸椎間の亜脱臼に起因する例があり,環軸椎回旋固定といわれる.
口を大きく開けて X 線撮影を行うと,軸椎歯突起の両側に写る環椎が左右対称でない所見で診
断される(図 1-28).炎症や外傷に続発するとされているが,炎症性斜頚と環軸椎回旋固定との区
別は X 線所見のいかんによる.
炎症性斜頚,環軸椎回旋固定ともに自然に軽快する.痛みがあって元気がない時期は安静に寝
かせる.痛みが軽快すれば,起き出して,斜頚位も自然に消失するので無理に牽引する必要はな
い. 桃腺炎などの炎症所見が明らかな場合は消炎鎮痛薬を服用させる.




1-26 1-27 

1-28ab

痙性斜頚


 成人にみられる斜頚で,頚がひくひくと不随意に一方に回旋運動を繰り返す.中枢神経の異常
による項頚部筋の痙縮で,心因性の要因も関与している.神経外科,神経内科,精神科などのア
プローチが必要である.

  

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