むち打ち損傷による頚椎捻挫
 
症状と経過

 追突された瞬間に頚椎は強く後屈を強制され,続いて反動によって前屈が強制される.重い頭
が付いた頚椎が鞭のように振られるので,むち打ち損傷といわれる.自分が追突した場合には前
屈が先に強制され,続いて後屈が強制される(図 1-12,13).受傷直後には症状が少なく,翌日か
ら頚の痛みが現れ,後頭部,肩から上肢,肩甲間部に痛み,張り,こりが拡がる(図 1-14).受傷
後数日経ってから症状が現れたり,いったん軽快していた症状がぶり返すことがある.


病態

 むち打ち損傷では頚椎の通常可動域を超えて前後屈が強制されるから,頚椎のつなぎ目の軟部
組織に微小損傷が起こる.引き続いて損傷された軟部組織周辺に浮腫が発生し,各種の症状を誘
発する.軟部組織は自然に修復されるが,修復後の瘢痕が大きいと不快な症状を残す.皮膚の傷
は 2週間で抜糸できるが,傷をぐいっと押し開ければ傷は開いてしまう.傷の修復時期に傷をこ
すったりして刺激すれば,傷がもり上がって大きな瘢痕を残す.頚椎軟部損傷の修復も同様で,
初期の安静が保てなければ,瘢痕が大きくなり,周辺と癒着する.これらが頚椎周囲の頚部交感
神経叢を刺激して,バレー・リエウ症候群を起こす.頭痛,頭重,めまい,吐き気,耳鳴り,目
がしょぼしょぼする,胸部圧迫感,やる気なさなどの症状を含むが,患者さんは正しく訴えるこ
とができないので,医師が個々に確かめる必要がある.


1-12
 
1-13
 1-14



治療


@ほとんどすべての症例に約 1週間の安静臥床を必要とする.受傷の翌朝に起き上がるときに,
  自分の手で頭を支えなければならない程度であれば,2-3週間の安静臥床が必要である.
Aネックカラーは頚の動きを制限できるが,頚にかかる頭の重みを軽減できない.症状が強いと
  きは 10分でも横になって休むのがよい。
B臥位のままで頚椎支持筋のセッティング訓練を行う。


  

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