頚椎後縦靱帯骨化症
 
症状と経過

 肩こり,頚部痛,腕や手指のしびれなど頚部脊椎症と区別できない症状で始まる.症状は徐々
に進行し,両手と両足の麻痺症状が現れる.すなわち箸がうまく使えない,字を書くときにふる
える,手指の感覚も鈍くなる.また歩行時に足が持ち上がらない,ふらついて片脚で立っていら
れない,階段の登り降りに手すりに頼るなど下肢の痙性性麻痺症状も出現する.排尿開始遅延,尿
線の勢い低下,残尿感など膀胱機能障害も徐々に起こっているが,本人が自覚していないことが
あるので,問診で確かめる必要がある.頚椎の軽い外傷を契機にして急に四肢麻痺が発症するこ
ともある.


病態

 背骨の前方の円板状の骨を椎体という.椎体の前方と後方には縦に走っているすじがあり,前
方を前縦靱帯,後方を後縦靱帯という.この靱帯が肥厚してその一部が骨になるのが靱帯骨化で
ある.後縦靱帯は脊髄のすぐ前方に位置しているので,これが肥大して骨化する後縦靱帯骨化は
脊髄を圧迫して神経麻痺症状を起こす(図 1-15,16).骨化が 1-2椎体に限局した限局型,数椎体
レベルに連続した連続型に大別される.骨化の厚みが脊柱管前後径の 40%を超えると脊髄麻痺
症状出現の頻度が高くなる.一方,限局型や脊柱管の広い高位頚椎に発生し,麻痺を起こさない
例もある.
家系内発生例が多いことから,遺伝的素因が関与していると考えられている.男性に多く,肥満体
質や糖代謝の境界型障害と合併する傾向がある.靱帯骨化傾向は全脊柱に現れ,腰椎の前縦
靱帯骨化が特徴的な強直性脊椎骨増殖症の部分現症として後縦靱帯骨化症が出現すると考え
られている.


1-15   1-16


治療


 軽度の麻痺は安静・持続牽引などで軽快することもある.手術を勧められても,手術に踏み切
れない患者が多いのが現状であるが,症状が進行する場合には手術に踏み切らざるをえない.
前方から骨化巣を前方に移動させて除圧固定する方法と後方から椎弓を切除したり,脊柱管を
拡大固定する方法がある.



  

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